缶詰雑学

霧島黒豚の角煮

 昨年末に行われた「缶つま総選挙」で、89種類の中から堂々のセンターを獲得したのが「霧島黒豚の角煮」であります。宮崎県産のブランド豚・霧島黒豚の三枚肉を煮込んだ角煮は、脂身はうっとりするほど甘く柔らかく、赤身は甘辛醤油だれが染みこんで濃厚そのもの。その分厚いスライスがひと缶に何枚も入っているから、税抜き800円という価格にも納得なのだ。

 思えば、缶つまシリーズが発売されたのは2010年のことで、その初期のラインナップに霧島黒豚の角煮も入っていたと思う。AKB48でいえば第1期メンバーのひとりということになる。その後、毎年春と秋に新メンバーが加わってきて、2015年末時点で総勢89人、じゃなかった89種類。AKB48はメンバーがどんどん入れ替わるが、缶つまは終売アイテム以外、全員が残っているのが大きな違いである。そうして発売から約5年が経過し、途中で子持ちししゃもや筑紫金うなぎ、はたまた松阪牛の大和煮など強豪が次々と現れたのに、初めて行われた総選挙でセンターを獲得したのが第1期メンバーなのだから、カン慨深いものがある。

 さて、その霧島黒豚の角煮だが、食べる前に湯せんで温めるのがセンター獲得者への礼儀である。肉が柔らかくなり、醤油だれの香りが立ったところで皿に盛り、そこへ沖縄の辛い調味料「コーレーグース」をかけるのが僕の好みである。本来は九州の甘辛味が、あっという間に沖縄の味へと変身するのだ。沖縄そばに乗せればもう、気分は完全に沖縄である。そうなると九州らしさはどこへ行ったのかという問題も発生するが、気にしてはいけない。センター獲得者は何にでも使えるマルチタレントなのであります。

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