缶詰雑学

アンチョビの話

 アンチョビって美味しいですね。塩辛くて、オイリーで、発酵した魚のうまみがあるから料理に入れると味が深くなる。魚好きにはたまらんアイテムであります。

 アンチョビはカタクチイワシを塩漬けにしたもので、つまりはお漬物の一種である。カタクチイワシを開いて頭と内臓、骨を取り除き、フィレ状にしてから桶に並べる。その上に塩を振り、またフィレを並べて塩を振り...と、日本のお漬物と同じ作り方をしている。それを1カ月から2カ月、ものによっては半年以上熟成させてから取りだし、水洗いして塩抜きして、油と一緒に缶に詰めれば出来上がり。密封したあと加熱していないから、正確には缶詰ではなく“缶入り食品”ということになる。

 日本に入ってくるアンチョビはイタリア産かスペイン産が多いが、おおざっぱに言うと両者は性格が違う。イタリア産のものは塩分が多く、パスタソースなどに使うのに都合がいい。一方、スペイン産には塩分が少ないものがある。バルで提供されるピンチョスなどに使われるもので、生のまま食べるために塩分を抑えているのだ。

 画像のアンチョビは、ついこのあいだ輸入が始まったスペインの新しいアンチョビ「アンコマール(ANCOMAR)」というもの。塩分を比較的少なくし、かつ漬けこむ期間も短めなので、フィレの色合いが生に近い。風味はフレッシュで、それでいて舌触りはねっとりぺとり。まるで生ハムのような味わいなのだ。その分お値段も高くて、1缶が1500円前後になるそうな。ちょっとした贅沢でありますなァ。

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