缶詰雑学

フムスの缶詰

 世界は料理で満ちあふれている。そして、その料理が入った缶詰もちゃんと各国で作られているから愉快だ。

 中東にはフムスという料理がある。茹でたひよこ豆をすり潰し、ごまペースト、塩、スパイスなどを加えたもので、肉や魚は一切使わないのがポイント。だから世界中のベジタリアンに愛されているそうな。

 いったいどんな味なのか気にはなっていたが、これまで食べる機会はなかった。というより、積極的に食べようと思わなかった。何しろ豆をすり潰しただけの料理である。ところがある日、友人がフムスの缶詰を買ってきてくれた。桃缶と同じ大きさの缶(4号缶という)で、中にはマッシュドポテトのようなものがぎっしり詰まっている。皿にあけてみたら3〜4人分はありそうだ。あらためて食べられる分だけ取り分け、別の皿に盛り直した。フムスの盛りつけ方は独特で、真ん中を開けて周囲を盛り上げることが多い。ちょうど火山のクレーターのような形である。この形状にするため、フォークでぺたぺた整えていると、いつの間にか映画「未知との遭遇」の主人公、リチャード・ドレイファスの心境になってきた。彼はUFOを見て以来、粘土状のものを見ると、なぜか火山状にせずにはいられなくなるのである。

 なんとか形を整え、彩りのために枝豆とトマトをトッピングして、オリーブオイルを掛けた。ひと口頬張ってみると...。やっ、思ったより濃厚である。塩気がしっかり利いており、オリーブオイルのコクも加わっているから充分、主食になる。こんな珍しい料理が手軽に味わえるのも、缶詰の魅力なのであります。

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